バリュー投資入門(4)バフェット2017(4)
4. 運用成績は良かったり悪かったりする。しかし手数料は必ず徴収される
バフェットは、「運用成績は良かったり悪かったりする。しかし運用手数料は必ず徴収される」(“Perfomance comes, performance goes. Fees never falter.”)と述べ、多くの専門家が運用するファンドのインセンティブ(成果)報酬の問題について述べています。
バフェットの賭け
そして、バフェットが実際に行った2007年12月9日から10年の「賭け」(‘The Bet’)の結果を発表しています。「賭け」とは、バフェットが選択したほとんどコストのかからないS&P500のインデックスファンドが、多くの評判の良い、成果報酬型の「助っ人」である投資専門家によって運営されるファンドに比べてより良い結果を残すだろう、というものです。
バフェットは$318,250を10年間運用して、2018年初期にオマハのGirls Inc.に寄付し、さらに、その賭けの結果を公表することとしました。
バフェットの賭けの相手は、Protégé Partersです。Protégéは、S&P500をアウトパフォーム(上回る)すると期待される5つのファンズ・オブ・ファンズ(funds-of-funds)を選びました。このファンズ・オブ・ファンズはさらに200を超えるヘッジファンドに投資します。
成果報酬がリターンを食いつぶす
その結果が下記です。アニュアルレポートでは各年のパフォーマンスが掲載されていますが、ここでは、10年間総計の結果と、年率平均リターンを記します。(FOF: Funds-of-Funds)
FOF-A FOF-B FOF-C FOF-D FOF-E S&P Index Fund
総計 21.7% 42.3% 87.7% 2.8% 27.0% 125.8%
年率平均 2.0% 3.6% 6.5% 0.3% 2.4% 8.5%
バフェットは、次のようにまとめます。
コストがかからないインデックスファンド
「2008年にはFOFは良いスタートを切った。全てがインデックスファンドを上回った。しかし、その後に屋根が落っこちた。その後の9年間の各年で、全てのFOFがインデックスファンドを下回った。過去10年で株式市場の動向に常軌を逸したものはなかった。(中略)
ウォールストリートの”助っ人たち”は実に多くの報酬を得た。このグループが繁栄する一方、彼らに運用を任せた投資家たちは失われた10年を経験したのである。」
バフェットと全く同意見です。いかに運用報酬、手数料が投資家の成果を侵食するか、ということです。
バリューを見きわめ自ら銘柄選択する
バリューを見極め、手数料、運用報酬などのコストのかからないインデックス・ファンドに投資するか、バリューに基づく銘柄選択に興味が持てる、楽しいのなら、いくつかの個別銘柄に投資することを勧めたいと思います。私の場合、後者の方法をとっています。
参考になるかどうかわかりませんが、個人的には、個別銘柄投資を、ネット証券で低コストで投資する方法と、総合証券会社が提供するリサーチを参考に息の合うマネージャー(担当者)と意見交換しながら投資する方法の2つの方法を併用して行っています。
2018/7/29
© kota nakako, gcs