政治的不確実性がマーケットに及ぼす影響 – SAJ7月号読む
政治的不確実性がマーケットに及ぼす影響 - 証券アナリストジャーナル7月号特集を読む
昨今、米中貿易摩擦に代表されるように、国家主権、保護主義的な動きによる政治的不確実性が高まっている。そのマーケットに及ぼす影響の大きさは実感するところである。SAJ7月号では、それを定量的に分析することを試みている。
政策不確実性指数(EPUインデックス)
行動経済学的なアプローチで新聞記事をベースに不確実性を指数化したのが、政策不確実性指数(Economic Policy Uncertainty Indices: EPUインデックス)である。EPUとVIX(S&P500のインプライド・ボラティリティ・インデックス)に高い相関性があることを指摘している(伊藤新)。
リスクプレミアムの上昇とリターンの低下
また、政策不確実性がエクイティ・プレミアムに影響を及ぼし、株式リターンを低下させていると指摘している(熊木)。これらの定量的分析は、政治的不確実性が、経済的不確実性を高め、その結果として資産価格のボラティリティ(変動)、つまりリスクを高め、さらにはリターンを低下させていることを示している。
保護貿易は百害あって一利なし
そもそも保護主義の台頭ということが経済的には大きなマイナスであるということがある。国際分業の進んだ現在のグローバル経済といわずとも、経済の原理原則から保護貿易は相手国だけでなく自国にも大きなダメージを与える大きなマイナスである。
米中の交渉ゲームは囚人のジレンマか
トランプの政治経済外交で読めないのは、どこまでが本音で、どこまでがハッタリかということである。ビジネスマンであるトランプは、交渉術として、つまりハッタリとして関税政策を使っているのだろう、と思っていたが。
ハッタリが、ハッタリでなくなったとき、それは囚人のジレンマのゲームにおちいる危険性をはらんでいる。
さあ、どう読むか、である。
8/24/19