リカード「経済学原理」を歩く-129 地代への課税-1 地主がすべて負担
【コメント】地代への課税は、すべて地主が負担し、他に転嫁されることはないし、地代に課税されたからといって、地代を引き上げることはできない、生産物の価格を引き上げることもない、とする。地代に課税されても、差額地代に変化は生じないからである。
(訳)
第10章 地代への課税
地代への課税は、地代に影響を与えるだけであり、すべて地主が負担する。他のいかなる消費者層にも転嫁されることはない。地主は課税されたからといって、その地代を引き上げることはできない。なぜなら、その土地の生産物と、耕作される最も劣等な土地、その他の等級から得られる生産物との差は変らないからである。1,2,3等級の土地が耕作されているとする。それぞれ、同じ労働投入量で、180、170、160クォーターの小麦を生産する。しかし、第3等級の土地は地代を払わない。したがって、課税されない。第2等級の地代は10クォ―ター、第1等級の地代は20クォ―ターの価値を超えることはできない。このような税金は生産物の価格を引き上げない。なぜなら第3等級の土地の耕作者は地代を支払わず、したがって税金も支払わず、生産された商品の価格を引き上げることはできないからである。地代への課税は新たな土地の耕作に水を差すこともない。というのも、このような土地は地代を払わず、課税されないからだ。もし、第4等級の土地が耕作され、150クォ―ター生産されるようになると、第3等級の土地に10クォ―ターの地代が発生し、税金を支払い始める。
(original text)
CHAPTER X. ON RENT.
A tax on rent would affect rent only; it would fall wholly on landlords, and could not be shifted to any class of consumers. The landlord could not raise his rent, because he would leave unaltered the difference between the produce obtained from the least productive land in cultivation, and that obtained from land of every other quality. Three sorts of land, No. 1, 2, and 3, are in cultivation, and yield respectively with the same labour 180, 170, and 160 quarters of wheat; but No. 3 pays no rent, and is therefore untaxed: the rent then of No. 2 cannot be made to exceed the value of ten, nor No. 1, of twenty quarters. Such a tax could not raise the price of raw produce, because as the cultivator of No. 3 pays neither rent nor tax, he would in no way be enabled to raise the price of the commodity produced. A tax on rent would not discourage the cultivation of fresh land, for such land pays no rent, and would be untaxed. If No. 4 were taken into cultivation, and yielded 150 quarters, no tax would be paid for such land; but it would create a rent of ten quarters on No. 3, which would then commence paying the tax.
Kota Nakako
6/30/19