公開市場での情報トレーディング利益の減少(JAI 2018秋)
JAI Fall 2018の2本目の論文は、公開市場における情報にもとづくトレーディング(Informed Trading)のリターンの減少について述べている。取引コスト、情報コストの低下による市場の効率化にともない、情報トレーディングのアルファが低下している。それによりプライベートキャピタル、オルタナティブ投資の重要性が増していることを示唆しているといえる。
「株式及びオプション市場における情報に基づくトレーディングの衰退」(“The Decline of Informed Trading in the Equity and Options Markets,” Charles Cao, David Gempesaw, and Timothy Simin)
トレーディングの隆盛と取引コスト、情報コストの減少
公開市場におけるトレーディングが、進化していることは言うまでもない。この背景には、手数料削減などによる取引コストの低下、インターネットの普及進展による情報コストの大幅な下落がある。同論文は、自社調査を含む情報にもとづくトレーディングとその収益性について検証を行っている。
ヘッジファンド・アルファの減少
株式とオプション市場における情報に基づくトレーディングとそれがもたらすアルファについて検証し、2000年代にそれが著しく減少し、その傾向が続いている、としている。この下落はHFRI Equity Hedge (Total) Indexがもたらアルファ(α)の下落にほぼ連動している。つまり、市場の効率性の高まりがヘッジ・ファンドのアルファの減少に繋がっているのである。
オルタナティブ投資のフロンティア
もし公開株式市場が減少傾向を示し、自社調査を含む情報に基づくトレーディングの利益が低下しているならば、オルタナティブ投資の新たなフロンティアは何になるのだろうか?それが次の問である。
公開市場の効率化とオルタナティブ投資
市場の原理は変わらない
参入障壁が下がれば利益が減るのは経済の大原則である。超過利益を得るためには、他ができないことをしなければならない。公開市場の情報トレーディング利益の減少は、市場がより競争的になっていることを表している。プライベートキャピタル、オルタナティブ投資が注目される理由のひとつがそこにある。
イノベーション、差別化がキーワード
公開市場が効率化していることは、キャピタルマーケットにとっては好ましいことである。ただし、一方で新しい投資対象、投資手法が求められていることも事実である。イノベーション、差別化がキーワードである。PE、AIが出てきた背景にそれがある。
2018/10/17