Covid-19パンデミックの経済学 Economics of Covid-19 pandemic

中湖 康太

Covid-19バンデミックを経済学的な視点から考え投資の参考としたい。

パンデミックについては、感染の抑制と経済活動の維持のバランスが難しいことは明瞭だ。感染を抑制しようとすれば、通常の経済活動は大幅に制限され、まずは大幅な支出(需要)の減少としてあらわれ、それが生産(供給)に打撃を与える。したがって、ある程度、制御可能な範囲で感染の拡大を覚悟した上で、経済活動を維持しようと試みようとするわけだ。しかし、感染がコントロールできない程度に拡大してくると、逆に経済活動にも大きな支障をきたすことになる。結果的に生産と支出に甚大な打撃を与えることになる。

Covid-19パンデミックの問題の本質は、外部不経済である。つまり、経済主体としての個々の企業、個人の行動が、他の不特定な経済主体に不便益(損失)を与えることである。

外部不経済の問題は、パンデミックのように不特定多数に及ぼす場合、個々の経済主体の意志決定に任せておいては解決ができないことは、経済学のイロハ(基礎)である。つまり、政府による介入が必要になる。

その介入はどうあるべきか。それはロックダウンの経済学といえるものである。つまり、まずは感染抑止を最優先させる。そして、それによって生じる個人、企業の損失を政府が補償する。今回の場合、特に打撃の大きい観光、運輸、飲食業などへの補助金などの救済策が必要であろう。そして、政府が治療薬、ワクチンの開発に巨額の資金を支出することである。

パンデミックを放置した場合の経済的損失が、仮に1年分のGDPだとすれば500兆円規模の補助金、救済策、ワクチン開発支出をしても良いということになるだろう。いずれにしても思い切った政府支出が必要になる、といって良いだろう。

この場合の政府支出は国債発行によるものになるだろう。しかもそれは多額なものになる。それは中央銀行引き受けによってファイナンスされることになるだろう。ポスト・パンデミックは政府債務の問題になる可能性がある。しかし、それはもともと誰かが負担しなければならないコストなのである。人類がこれまで地球環境の維持に支出すべき経済的コストを払ってこなかったことを考えれば、それは過大とはいえないかもしれない。

いずれにしても、これは全人類的、全地球的な課題であり、そういった視野で取り組むべき問題であるといってよいのではないだろうか。

中湖 康太

The nature of Covid-19 pandemic is the external diseconomy, which cannot be solved by individualistic profit seeking of free market forces; i.e. social benefit enhancing government intervention will be neccessary, or rather essential. Practical solution would have been to continue moderate economic activities as far as Covid-19 were under control. Yet, as it is turning out, that is not case. Now, the desirable solution will be effective lockdown with government subsidies to individuals and businesses which cannot operate under it. The cost will be significant yet lower than otherwise. We must measure the economic and social costs and benefits of each approach. Anyway, this problem have to be tackled from global view point and by global cooperative actions. 

by Kota Nakako

2020/07/30

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