‘経済学古典を歩く Walking Economics Classics’ カテゴリ
経済短歌 比較優位の理由 Reason for Comparative Advantage
2019-04-06
リカードが 比較優位の 説明に 資本不自由を 説くは奇異なり
Curious is Ricardo's explanation of Comparative Advantage due to the difficulty of movement of capital.
リカードの 比較優位の 真因は 労働移動 不自由なるべし
True reason for Comparative Advantage should be more the difficulty of movement of labour than that of capital, in my view.
Reading and 'walking' Ricardo's 'Principles', I felt it curious despite his placing importance on labour as ... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-87 外国貿易-10
2019-04-05
【コメント】有名なポルトガルと英国のワインと布の生産費(労働投入量)を使った比較生産費説(比較優位説)の説明。2国間、2商品生産モデル。
ポルトガルの生産費(労働投入量)がワイン80、布90、英国の生産費がワインが120、布が100とする。この場合、ポルトガルがワインを、英国が布を生産して交換(貿易)することが双方の利益になる。
ポルトガルはワイン、布の2商品の生産費で絶対優位にある。一方、ポルトガルはワイン、英国は布の生産費で比較優位にある。
但し、リカードが資本移動の困難さを理由に多国間での比較優位説を説明しているのは、妥当ではないいのではないか。リカードが労働価値説をとっていることからも本質的には、労働の移動の困難さによるものであろう。それともリカードに何かの意図があったのか。
(訳)
ポルトガルでワインを生産するには年間80人の労働が必要で... → 続きを読む
経済短歌 マルサス労働供給論 Malthus’s Labour Supply Theory
2019-04-04
マルサスで 労働供給 決めるのは 生存可能 実質賃金
What Determines Labour Supply in Malthus is the Real Wage at Subsitence Level.
限界の 不効用こそ 労働の 実質賃金 マルサスの肝(きも)
The Key to Malthus is Subsitence Wage Equals Marginal Disutility of Labour.
マルサスの 人口論の 本質は 労働供給 モデルの提示
Malthus' Revolution is the Labour Supply Model, Seriously Presented for the first time in Economics.
リカードが 賛美おくるは マルサスの 労働供給 モデルこそなり
Ricardo's Unstin... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-86 外国貿易-9
2019-04-03
【コメント】比較優位説の説明。国際間の商品交換経済を前提にした比較生産費説と言った方がより適切だろう。
(訳)
同一国内では、利益は一般的にいって同じか、同じ水準にある。もし、ヨークシャーで使われた資本の利益がロンドンの利益を超えるのであれば、資本はすぐさまロンドンからヨークシャーに移動するだろう。そして、利益は同一水準になる。国が異なると状況は違ってくる。資本と人口の増加にともない英国での生産の利益率が減少すると、賃金は上昇し、利益は減少する。しかし、資本と人口は必ずしも英国から、利益が高いオランダやスペイン、ロシアへは移動しない。
もし、ポルトガルが他の国々と通商を行っていなかったとすると、自国の資本をワインの生産に費やし、布、工業製品を他国から購入するかわりに、資本の一部をそれらの商品の製造に向けることになるだろう。自国で生産する布、工業製品は、品質と量において輸入品より劣っ... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-85 外国貿易-8
2019-04-01
【コメント】「交易による相互の利益というきずなに結ばれた文明世界を築くことになる」と国際分業、国際貿易の利益を説く
(訳)
外国貿易について述べたことは、国内取引についてもあてはまる。利益率は労働の配分の改善、機械の発明、道路や運河の整備、商品の製造や運搬における、労働の短縮化では決して上昇しない。これらは価格に作用する要因であり、消費者には大きな恩恵をもたらす。というのは、同じ労働で、つまり、同じ労働生産物の価値で、より多くの商品と交換できるからだ。しかし、利益にはまったく影響を与えない。一方、労働賃金の減少は、利益を上昇させる。しかし、商品の価格には影響を与えない。第一に、すべての階級に有利になるという作用がある。というのも全ての階級が消費者だからだ。第二に、生産者にのみ恩恵を与える作用だ。生産者はより多くを得ることになる。しかし、前者の場合、そのもうけが費やされるすべてのものの... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-84 外国貿易-7
2019-03-31
【コメント】賃金の下落によって利益率は改善しないと述べる。これは、リカードの議論の前提が、完全雇用経済であり、一般物価水準が賃金とパラレルに変化することを想定していると推定される。つまり実質賃金(W/P)は変化しない。そして、賃金が支出される食料、必需品の価格が低下しない限り、利益率は改善しないと述べる。
これはリカードが、労働の限界不効用を生存可能賃金とし、それが実質賃金と等しいとしているためである(労働供給サイド)。さらに言えば、この実質賃金が労働の限界生産力に等しいということになる(労働需要サイド)。ケインズが「一般理論」で明らかにした、古典派の2つの公準である。
(訳)
本書で、一貫して述べているのは、第一に、利益率は賃金の下落によって決して上昇することはないということ、第二に、賃金が費やされる食料や必需品の下落が無くて、賃金が永続的に下落することはないということ... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-83 外国貿易-6
2019-03-26
【コメント】比較優位説の片りんが述べられる。「労働のより良い配分により、人々の幸福が高まる」という形をとる。外国貿易の利益のもともとの発想は、労働のより良い配分、である。
(訳)
機械をつかうことで、収入を生み出す商品の価値が20%減少したとすると、収入が20%上昇したのと同じだけ節約することができる。しかし、前者においては利益率は一定であるのに対して、後者では20%上昇する。もし、安い外国商品をつかうことで、支出を20%節約できたとすると、その効果は、機械が生産コストを低下させたのと、全く同じである。しかし、利益は高まらない。
利益率が上昇するのは、市場が拡張した結果ではない。もっとも、このような拡張は、商品の質量を増加させるのと同じ効果を生むかもしれない。そして、労働者の基金や物資を増やすことになるかもしれない。それぞれの国の状況、気候、その他自然的、人工的な有利さに適合・順応... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-82 外国貿易-5
2019-03-24
【コメント】外国貿易による資本蓄積への効果
(訳)
資本の蓄積の仕方には2通りある。収入の増加によるか、支出の減少である。もし、利益が1000ポンドから1200ポンドになり、支出が同じままだとすると、以前より毎年200ポンド蓄積することになる。もし、支出から200ポンドを節約し、利益が同じだとすると、同じ効果が得られる。毎年200ポンドが資本として蓄積することができる。もし、利益が20パーセントから40パーセントに上昇した場合には、ワインを輸入する商人は、英国商品を1000ポンド購入する代わりに、857ポンド2シリング10ペンスで購入しなければならない。または、輸入したワインを、それらの商品と交換に1200ポンドで売らなければならない。または、英国商品を1000ポンドで購入し続けたとしたら、ワインの価格を1400ポンドに引き上げなければならない。このように、資本利益率を20パーセント... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-81 外国貿易-4
2019-03-23
【コメント】リカードは、外国貿易について価値の面からの説明を続ける。ここで注目すべきは、リカードが貨幣を媒介にして貿易ではなく、物々交換、言い換えれば純粋交換経済を想定していることである。これもリカードの抜け目なさ、論理的首尾一貫性を感じさせる点である。
(訳)
すると、資本は靴、帽子その他の生産から解放されて、外国の商品を購入するための商品の生産に使われるだろう。そして、結果的には、いずれの場合にも、価値の点においては、外国商品と国内商品を合わせて、その国の収入と資本によって制約される。もし、一方が増えれば、他方が減る。もし、同量の英国の商品と交換できるワインの量が2倍になったら、英国の人々は以前の倍のワインを消費するか、同量のワインと、より多くの英国の商品を消費することができるようになるだろう。もし、わたしの収入が1000ポンドで、毎年100ポンドでワイン1樽を購入し、英国産の商... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-80 外国貿易-3
2019-03-22
【コメント】土地の本源的価値と労働価値説に基づいた、外国貿易論が展開される。需要が一定とすれば、外国商品の価格の方が低い場合には、本質的には、より少ない英国の土地と労働の価値と交換に外国商品を得ることができる。あまった土地と労働の価値は他の商品の購入にあてることができる。資本は需要に応じて収縮的に供給されると解してよいであろうか。リカード経済学は、本質的にサプライサイドなので、より大きな需要が存在する場合には、それを裏付ける供給力が存在するということが読みとれる。
(訳)
第一に、穀物、布、帽子、靴等の商品への需要が減少しない場合に、それらに投下される資本が減るということはない。減少する場合には、価格は上昇することはない。外国商品の購入に際しては、その交換に、同量の、またはより多くの、またはより少ない英国の土地と労働があてられることになる。同量の場合には、以前と同じ水準の布、靴、穀物... → 続きを読む
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