‘経済学古典を歩く Walking Economics Classics’ カテゴリ

経済短歌: 経済学古典を読む意味 Why Reading Economics Classics – Leading to Value Investing

2019-07-15
経済短歌 Economics Tanka 経済の 古典を読むは 真(まこと)なる エコノミストの 視点得(う)ること Reading Economics Classics Is to Know and Gain True Insight Into Worldly Affairs With the Eye of an Economist (注) 経済学の教科書を学ぶことだけでなく、経済学の古典を読むということは、時代が変わっても変わらない、真の経済学的発想、視点、行動力を養うことであると思います。 リカード、ケインズなどの主著を読みことは、不変の経済学的発想を知り、(願わくば)身につける有効なアプローチであると感じるのです。 それは勿論、投資、特にバリュー投資につながるものです。 「経済学の古典を歩く」シリーズのねらいのひとつがそこにあります Kota Na...
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リカード「経済学原理」を歩く-135 十分の一税(Tithes)-4 平衡税

2019-07-15
【コメント】国内産布に課税されると、課税されない輸入布がより安くなり、需要される。資本は布の生産から他の商品の生産に向かうだろう。輸入布が課税される(平衡税)と国内産布が需要される。しかし、いずれにしても国内生産者は課税で、より容易な生産をすることはできなくなる。生産への課税により、限界費用が上昇するからである、と解することができる。 (訳) 布の売買が完全に自由に行われたら、国内の製造業者は輸入するよりも安く布を売ることができるかもしれない。もし、税金が国内の製造業者に課され、輸入布に課されないなら、資本は痛手を受けるため、布の製造から他の商品の製造に向けられるだろう。それは、国内で生産するよりも、安価に輸入することができるからである。もし輸入布に税金が課されれば、布は再び国内で生産されるかもしれない。消費者は、当初は、輸入布よりも安かったから国内産の布を購入した。次に、外国産の布...
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リカード「経済学原理」を歩く-134 十分の一税(Tithes)-3 従量税の問題点

2019-07-14
【コメント】リカードは、十分の一税のような従量税は、生産量の拡大にともなって純所得に対する比重を増すため、生産者階級の分け前を減少させる。それは、また輸入奨励金として作用するため、土地への需要を減少させ、地主にとっても重くのしかかることになる、とする。 (訳) 生産量の拡大により耕作の困難さは増加するわけだが、十分の一税と同じように生産に比例して課される他の方法で、教会に同じ価値のものが納めらるとしたら効果は全く同じになる。教会は、常に一国における土地と労働の純生産物のより多くの割合を得ていくことになる。進歩する社会においては、常に粗生産物に比例して土地の純生産物は減少していく。進歩する国であれ、停滞した国であれ、すべての税金が最終的に支払われるのは、その国の純所得からである。粗所得の増加と共に増加するが、実質的には純所得にかかる税金は、とても重く、耐えがたいとってもよい税金だ。十分...
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リカード「経済学原理」を歩く-133 十分の一税(Tithes)-2 反対する理由

2019-07-09
【コメント】リカードは、十分の一税は、貨幣地代に影響を与えないが、穀物地代には大きな影響を与えるとし、十分の一税に反対する。その理由は、それが恒久的、固定的税ではなく、穀物生産の困難さに伴い増加する、というものだ。生産における収穫逓減により、十分の一税にしても、生産物課税にしても、税負担は逓増することになる。これが市場における最適生産を妨げるのである。 (訳) 十分の一税も貨幣的税も地主の貨幣地代に影響を与えない。しかし、両方とも穀物地代に大きな影響を与える。貨幣的税がどのように穀物税に影響するかは前述した通りだが、同様な影響が十分の一税に作用することは明らかである。もし、第1、2、3等級の土地が各々180、170、160クォ―ターを生産すると、地代は、第1等級20クォ―ター、第2等級10クォ―ターになる。しかし、十分の一税が課されるともはや同じ割合を得ることはできなくなる。もし、十...
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リカード「経済学原理」を歩く-132 十分の一税(Tithes)-1 消費者に転嫁される

2019-07-06
【コメント】十分の一税(Tithes)とは、生産物に課税される。現在では廃止されている。リカードは、十分の一税は、生産物への課税と同様、消費者に転嫁され、農業者は通常の利益を得ることができる、とする。 (訳) 第11章 十分の一税 十分の一税は土地の生産物への課税である(KN注: 今は廃止されている)。生産物への課税と同じくすべて消費者に転嫁される。十分の一税は、土地の使用に関する地代への課税と異なり、生産物の価格を引き上げる。最下級な土地も、最上級の土地と同様に、土地からの生産量に正確に比例して、十分の一税を支払う。その意味で、十分の一税は平等な税である。 地代を支払わない最下級の土地が穀物価格を決定するわけであるが、その農業者は、十分な量を生産し、通常のストックの利益を得ることができる。小麦の価格がクォ―ター当り4ポンドであれば、同様の利益を十分の一税が課された後にも得ること...
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リカード「経済学原理」を歩く-131 地代への課税-3 地代の内訳

2019-07-04
【コメント】地代という名目で、賃借人から地主に支払われる報酬には、土地の使用に対するものと、建物等のストックやその改善に対するものがある。地代に課税される場合、前者のみが地主に課されるものであり、後者は、消費者に課されるのでなければ、地主、賃借人にかかわらず、資本が要求する利益水準を満たさないため、生産は阻害される、というのがここでのリカードの主張であろう。 (訳) 地代に課税されるなら、地主は、それが土地の使用に対して支払われるものなのか、建物やストックの改善に対して支払われるものか判別しようとすることは疑いない。後者は、家や建物の使用料と呼ばれるべきものである。すべての土地が耕作された(地代が発生しない)場合には、このような建物やその改善は賃借人によるものであり、地主によるものではない、ということになる。地主の資本は、実はそのような目的で使われるかもしれない。名目的には賃借人により...
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リカード「経済学原理」を歩く-130 地代への課税-2 生産を阻害

2019-07-03
【コメント】リカードは、地代に課される税金は、地主の利益への課税ともいえるもので、それは生産を妨げることになる、とする。そして、課税分だけ生産物価格が上昇しなければ、生産されないことになるため、結局のところ生産物価格が上昇し、消費者が負担することになる、と述べる。  また、地代と名がついていても、厳密には土地の利用に対して支払わるのが地代であり、建物、備品に支払われるものは利益であるとして区別している。 (訳) 地代が発生する場合に、地代に課される税金は、地主の利益への課税ともいえるものであり、耕作をさまたげることになる。土地の地代という言葉は、他でも見られるように、農業者が地主に支払う地代相当の価値の総額のことをいう。地主が払う建物や備品、その他の費用は、農地の厳密にストック部分を形成し、もし、地主によって供給されなかったら、賃借人が備え付けるものである。地代という名で、...
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リカード「経済学原理」を歩く-129 地代への課税-1 地主がすべて負担

2019-06-30
【コメント】地代への課税は、すべて地主が負担し、他に転嫁されることはないし、地代に課税されたからといって、地代を引き上げることはできない、生産物の価格を引き上げることもない、とする。地代に課税されても、差額地代に変化は生じないからである。 (訳) 第10章 地代への課税 地代への課税は、地代に影響を与えるだけであり、すべて地主が負担する。他のいかなる消費者層にも転嫁されることはない。地主は課税されたからといって、その地代を引き上げることはできない。なぜなら、その土地の生産物と、耕作される最も劣等な土地、その他の等級から得られる生産物との差は変らないからである。1,2,3等級の土地が耕作されているとする。それぞれ、同じ労働投入量で、180、170、160クォーターの小麦を生産する。しかし、第3等級の土地は地代を払わない。したがって、課税されない。第2等級の地代は10クォ―ター、第1等級...
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リカード「経済学原理」を歩く-128 生産物への課税-17 比較生産費は変らない

2019-06-29
【コメント】リカードは、(生産物への課税による)商品価格の上昇は、外国貿易において、自国商品を比較劣位におくことはない、とする。比較生産費説に立った考え方であるといってよいだろう。 (訳) 自国の商品価格の上昇は、時に輸出を制限し、いつくかの商品の輸出をできなくしてしまうが、それは外国貿易を著しく妨げることはない。外国市場での競争に関する限り、自国を比較劣位におくことはないだろう。 (第9章おわり) (original text) Although then the rise in the price of most of our own commodities, would for a time check exportation generally, and might permanently prevent the exportation of a few commo...
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リカード「経済学原理」を歩く-127 生産物への課税-16 最適な資本の配分を妨げる

2019-06-28
【コメント】リカードは、生産物への課税で、資本の最適な配分が妨げられる、と説く。自然価格の形成がそこなわれるからである。 (訳) この主題の考察を単純化するために、原材料の価値の上昇は、同じ比率ですべての国内の商品に影響を与える、つまり、1つが10%上昇すれば、他も全て10%上昇すると、と仮定してきた。しかし、商品の価値は、原材料と労働から様々に異なって形成される。例えば、貴金属から作られるすべてのものは、土壌の生産物の上昇の影響は受けない。生産物への課税により、商品の価値におよぼす作用は実に様々になることは明らかである。この作用により、特定の商品の輸出は、促進、または妨げられる。それは、間違いなく商品への課税と同様の不都合を生じ、商品間の平常の関係を破壊する。このように帽子の自然価格は、布1.5ヤードと同じである代わりに、1.25ヤードの価値にしかならないかもしれず、または、1.75...
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