‘経済・投資 Money’ カテゴリ
リカード「経済学原理」を歩く-78 外国貿易-1
2019-03-20
【コメント】いよいよ今も輝きを失わないリカードの比較優位説が説かれる「外国貿易」の章だ。リカードはまず、労働価値説から入る。つまり、外国貿易がおこなわれたからといって、その国の生み出す価値が増えるわけではない、と切り出す。しかし、外国貿易によって得ることができる商品の量とそれがもたらす効用(満足度)は、圧倒的に高まるとする。そして、利益の章で述べたように、資本の利益率が一般的水準に収束する法則を述べる。
(訳)
第6章 外国貿易
外国貿易によって直ちに1国の価値が増えるというわけではない。しかし、外国貿易は、多くの商品とそれがもたらす人々の満足を大幅に増加させるだろう。外国商品の価値は、交換されるその国の土地と労働の生産物の量によって測られる。つまり、より大きい価値を持つことになるわけではない。新しい市場の発見によって、その国の生産物に対して、2倍の外国商品を得ることができるように... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-77 利益-16
2019-03-20
【コメント】リカードは賃金の上昇が商品の名目価格を上昇させないと議論を展開する。また、仮に商品価格が上昇したとしても、それは貨幣価値の下落をもたらすのみであって、両者に実質的な差異はないと主張する。結果的には、賃金の上昇は、利益率を減少させるのである。
(訳)
どんなに大きな国でも、土地がやせていて、食料の輸入が制限されていると、利益率は大きく下落、地代は急速に上昇し、資本の蓄積は乏しくなる。一方、小さくても土地が肥沃な国は、特に食料の自由な輸入が認められている場合には、利益率は大きく減少せず、地代もあまり上昇せず、資本の蓄積がおこる。賃金の章で、商品の名目価格は、賃金の上昇によって上昇しないことを示した。それは、貨幣の基準である金が、その国の生産物か、海外からの輸入であるかを問わない。そうでない場合、つまり、商品価格が高い賃金によって永続的に上昇するとしても、この主張の信ぴょう性が... → 続きを読む
リカード「経済学原理」を歩く-76 利益-15
2019-03-17
【コメント】リカードの分配論は農業経済を前提にしたものとの感が強い。これは、先に述べたようにリカードが限界概念(微分法)を経済学にもたらした革新性と比べると、時代の制約を感じざるを得ない。もっとも、リカードの理性は、プリミティブな農業経済を前提にすることで、むしろ限界概念を先鋭に提示していると解することもできるかもしれない。
前提を置いた上で論理を展開する。これがサイエンスのアプローチである。しかし、この議論の展開により、リカードが導こうとしたのは何だろうか。欧州の貴族の土地支配に対する警告なのか、資本主義の黎明期にあって、資本家が逆境に置かれていることを示し、改革をうながそうとしたのか、労働者の苦境をうったえようとしたのか。
いずれにしても、リカードが示したモデルが、19世紀から20世紀の経済社会に与えた影響、功罪ははかりしれない。
くりかえし引用するが、以下... → 続きを読む
Ghosn’s scandal and Nissan-Renault Alliance
2018-11-26
Inappropriate move
Carlos Ghosn, Nissan’s chairman, was arrested for alleged false descriptions about his compensation on financial reporting. It was reported that Nissan was antagonizing Renault because of Ghosn’s scandal. If it is true, it’s very inappropriate move,
Renault rescued Nissan by injecting capital and sending Carlos Ghosn to rebuild Nissan
Nissan was near bankrupt in late 90’s wit... → 続きを読む
ゴーン不祥事と日産・ルノー資本提携
2018-11-25
日産のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で19日に逮捕された。それをもって日産がルノーを敵対視するようなことが報道されている。
それが事実であるとすれば、日産経営陣のきわめて不適切な動きであると感じざるを得ない。
資本経営参加し日産を救ったルノー
日産は、90年代の後半、2兆円の有利子負債を抱えて経営破綻寸前であった。そして、1999年にルノーの傘下に入って人的・経済的支援を受けて経営を立て直すことになった。ルノーから派遣されたカルロス・ゴーンが辣腕を振るったことにより、日産は2003年には負債を完済した。 日産はルノーの資本経営参加によって経営破綻をまぬがれたのである。
「日産の利益がルノーに吸い上げられている」の不可解
破綻寸前の会社に資本を提供し、経営を立て直し、その会社への経営の関与を深めるのは資本主義経済においては極めて自然な流れで... → 続きを読む
マーケット続落時の考察 2018/10/25
2018-10-25
マーケット続落時の考察 2018/10/25
マーケットが続落している。どう見るか?
いわずもがなだが、簡単に整理しておこう。
バリュー投資の観点から重要なのは次の等式だ。
PER = P / EPS
ここで、P: 株価、EPS: 予想一株当たり利益、PER: Price Earnings Ratio
PERが12倍を切ったから割安だ、という。これはEPS(予想一株当たり利益)が変わらないという前提になっている。
EPSに変化がなければ、Pの下落、つまりPERの下落は割安になったということである。
マーケットが神経質、リスクオフになり下落した時、この下落が予想EPSの下落を伴うのか、どうかの判断が重要である。
しかし、これは極めて難しい。リスクオフというのは、3種類ある。
1.P下落、予想EPS一定(変化なし)心理的影響
2.P下落、予想EPS不確実性が高まる 心理的... → 続きを読む
JPモルガン・チェース 3Q決算(4) 商業銀行・アセットマネジメント
2018-10-24
JPMC Earnings Press Release 3q-2018
商業銀行部門 (Commercial Banking: CB)
CBは純利益の13.0%を占める。ROEは21%で全社の14%を上回る。
預金マージン改善
純利益は24%増の11億ドル。純収入は6%増の23億ドル。より高利回りの投資に移動したため預金残高は減少したが預金マージンの改善し増益となった。非金利収入は7%増の853百万ドルとなった。カバレッジの拡大とテクノロジーへの投資が主因。貸倒損失引当は純回収により15百万ドルの戻入れ。
アセット・ウェルス・マネジメント部門 (Asset & Wealth Management: AWM)
AWMは純利益の8.6%を占める。ROEは31%。
市場価格上昇、純流入
純利益は7%増の724百万ドル。純収入は3%増の36億ドル。市場価格の上昇と長期商品の... → 続きを読む
JPモルガン・チェース 3Q決算(3) 法人・投資銀行部門(CIB)
2018-10-24
インプレッション
CCBに次ぐ稼ぎ頭
JPMCの法人・投資銀行業務部門(Corporate & Investment Banking: CIB)の3Q2018決算を見てみよう。
CIBの純利益は、3%増の26億ドルで全社の31.3%を占めた。CCBに次ぐ稼ぎ頭。ROEは全社並の14%。
株式好調、債券不調
CIBの純収入は2%増の88億ドル。このうち投資銀行収入は前年並みの17億ドル。株式が好調だったが、債券が足を引っ張った形だ。金利上昇は債券部門には逆風となる。
非金利費用増
昨年が強かったこともありアドバイザリーフィーは減少したがシェアはアップしたとしている。非金利費用は8%増となっており、その主因の1つがバンカーへの報酬増である。これはJPMCに限ったことではない、投資銀行業界のトレンドである。
バンカーへのコンペンセーションをどう見るか?
投資銀行業務は良... → 続きを読む
JPモルガン・チェース 3Q決算(2) 消費者・コミュニティ銀行部門
2018-10-23
インプレッション
主力業務、稼ぎ頭であるCCB
JPMCの2018-3Qを部門別に見てみよう。消費者・コミュニティ銀行業務(Consumer & Community Banking: CCB)は、純利益の半分近く(48.8%)を占める主力業務である。JPMC全社のROE14%に対して、CCBのROEは31%と高く稼ぎ頭。
純収入の成長とマージン拡大;住宅ローン純収入は減少
CCBの融資、預金とも拡大し、マージンが拡大している。ただし、住宅ローン関連の純収入は減少している。金利上昇のマイナスの面であろう。カード事業、自動車リースも増加している。クレジットコストも減少している。ただし、カード・ローン成長に伴い、貸倒引当を増やしている事業もある。メリハリを効かせている。
テクノロジーへの投資
テクノロジーへの投資、自動車リース事業の成長に伴う減価償却の増加により、非金利費用も... → 続きを読む
JPモルガン・チェース第3四半期決算をみる
2018-10-21
グローバルな視点
JPモルガン・チェース(JPMC)の2018年第3四半期決算(10/12発表)を見てみたい。JPMCは世界最大(時価総額ベース)の金融サービス企業であり、その動向を知ることは、グローバルな投資の視点に繋がるからである。
わたしの印象
顧客本位 "The client is king."; Fintechもサービスの視点から
まず、わたしの簡単な印象である。好調な米経済、金利上昇局面にあることを反映して好調な決算だった。減税の恩恵も受けた。名CEOとして知られるJamie Dimonは、常に顧客志向、顧客本位を唱えている。テクノロジーFintecも顧客が何を求めているかを軸に考えている。この軸足を貫いている。金融コングロマリットのトップとしてのフィロソフィーである。これが優れた経営、事業展開に繋がっている。
また、リアル(実物支店)とバーチャル(Fintech)を... → 続きを読む
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