‘文化・社会 Culture’ カテゴリ
英語で味わう古今和歌集 仮名序-16 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-16 Ki no Tsurayuki
2024-11-13
英語で味わう古今和歌集 仮名序-16 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-16 Ki no Tsurayuki
それ、まくら(まろら)、ことば、春の匂ひすくなくして、空しき名のみ、秋の夜の長きをかこてば、かつは人の耳に恐り、かつは歌の心に恥ぢ思へど、たなびく雲の立ち居(イ)、鳴く鹿の起き臥(フ)しは、貫之らがこの世に同じく生れて、このことの時にあへるをなむ喜びぬる。
Now, while we wonder if the collected poems of ours might be lacking in the fragrance of spring, and only its empty name would go down in history, not quite sure how they wou... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-14 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-14 Ki no Tsurayuki
2024-11-12
英語で味わう古今和歌集 仮名序-14 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-14 Ki no Tsurayuki
それがなかに、梅を挿頭(カザ)すよりはじめて、郭公(ホトトギス)を聞き、紅葉(モミヂ)を折り、雪を見るにいたるまで、また、鶴亀につけて君を思ひ、人をも祝ひ、秋萩、夏草を見て妻を恋ひ、逢坂山(アフサカヤマ)にいたりて手向(タムケ)を祈り、あるは、春夏秋冬にも入らぬくさぐさの歌をなむ撰(エラ)ばせ給ひける。すべて千歌二十巻(チウタハタマキ)、名づけて『古今和歌集』といふ。
The emperor asked us to select and gather poems about inserting plum into hair, listening to Japanese Lesser cucko... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-12 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-12 Ki no Tsurayuki
2024-11-09
英語で味わう古今和歌集 仮名序-12 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-12 Ki no Tsurayuki
そのほかに、近き世にその名聞えたる人は、すなはち、僧正遍照(ソウジヤウヘンゼウ)は、歌のさまは得たれども、まことすくなし。たとへば、絵にかける女(ヲウナ)を見て、いたづらに心を動かすがごとし。
在原業平(アリハラノナリヒラ)は、その心余りて、詞(コトバ)たらず。しぼめる花の色なくて匂(ニホ)ひ残れるがごとし。
文屋康秀(フンヤノヤスヒトデ)は、詞(コトバ)たくみにて、そのさま身におはず。いはば、商人(アキヒト)のよき衣(キヌ)着たらむがごとし。
宇治山の僧喜撰(キセン)は、詞かすかにして、始め終りたしかならず。いはば、秋の月を見るに暁(アカツキ)の雲にあへるがごとし... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-11 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-11 Ki no Tsurayuki
2024-11-08
英語で味わう古今和歌集 仮名序-11 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-11 Ki no Tsurayuki
片糸のよりよりに絶えずぞありける。これよりさきの歌を集めてなむ、『万葉集(マンエフシフ)』と名づけられたりける。
ここに、古のとこをも、歌の心をも知れる人、わづかに一人二人なりき。しかあれど、これかれ得たる所、得ぬ所、互(タガヒ)になむある。かの御時よりこのかた、年は百年(モモトセ)余り、世は十(ト)つぎになむなりにける。古のことをも、歌をも知れる人、よむ人多からず。いまこのことをいふに、官位(ツカサクライ)高き人をばたやすきやうなれば入れず。
Nice poets have come out since then incessantly. The collection of poems before ... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-10 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-10 Ki no Tsurayuki
2024-11-08
英語で味わう古今和歌集 仮名序-10 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-10 Ki no Tsurayuki
古よりかく伝はるうちにも、ならの御時(オホントキ)よりぞひろまりにける。かの御代(オホンヨ)や歌の心をしろしめしたりけむ。かの時に、正三位(オホキミツノクライ)柿本人麿なむ歌の聖(ヒジリ)なりける。これは、君も人も身を合はせたりといふなるべし。秋の夕(ユフベ)、龍田川に流るる紅葉(モミヂ)をば帝の御目(オホンメ)に錦(ニシキ)と見たまひ、春の朝(アシタ)、吉野の山の桜は人麿が心には雲かとのみなむ覚えける。また、山部赤人(ヤマベノアカヒト)といふ人ありけり。歌にあやしく妙(タヘ)なりけり。人麿は赤人が上(カミ)に立たむことかたく、赤人は人麿が下に立たむことかたくなむありける。
Thus, poet... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-8 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-8 Ki no Tsurayuki
2024-11-07
英語で味わう古今和歌集 仮名序-8 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-8 Ki no Tsurayuki
あるは花をそふとてたよりなき所にまどひ、あるは月を思ふとてしるべなき闇(ヤミ)にたどれる心々を見たまひて、賢(サカ)し愚(オロ)かなりとしろしめしけむ。しかあるのみにあらず、さざれ石にたとへ、筑波山(ツクバヤマ)にかけて君を願ひ、よろこび身に過ぎ、たのしび心に余り、富士の煙(ケブリ)によそへて人を恋ひ、松虫の音(ネ)に友をしのび、高砂(タカサゴ)・住江(スミノエ)の松も相生(アイオヒ)のやうに覚え、男山(ヲトコヤマ)の昔を思ひ出でて、女郎花(オミナヘシ)のひとときをくねるにも、歌をいひてぞ慰めける。
At one time, poets were vacantly wondering seeing f... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-6 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-6 Ki no Tsurayuki
2024-11-05
英語で味わう古今和歌集 仮名序-6 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-6 Ki no Tsurayuki
今の世の中、色につき、人の心、花になりにけるより、あたなる歌、はかなき言(コト)のみいでくれば、色好みの家に埋(ウモ)れ木の、人知れぬこととなりて、まめなる所には、花薄(ハナススキ)ほに出(イダ)すべきことにもあらずなりにたり。
The world today tends to be gaudy and people’s hearts become flashy. Many poems composed are so redundant and futile that they remain largely unknown and are not made public buried under the... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-4 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-4 Ki no Tsurayuki
2024-11-02
英語で味わう古今和歌集 仮名序-4 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-4 Ki no Tsurayuki
安積山(アサカヤマ)の言葉は、采女(ウネメ)の戯(タハブ)れよりよみて、この二歌(フタウタ)は、歌の父母(チチハハ)のようにてぞ手習ふ人の初めにもしける。
そもそも、歌のさま、六つなり。唐の詩にもかくぞあるべき。その六種(ムクサ)の一つには、そへ歌。大鷦鷯(オホササギ)の帝をそへ奉れる歌。
難波津に咲くや木(コ)の花冬こもり今は春べと咲くや木の花
といへるなるべし。
二つには、かぞへ歌。
咲く花に 思ひつく身の あぢきなさ 身にいたつきの いるも知らずて
といへるべし。
三つには、なずらへ歌。
君に今朝(ケサ) 朝(アシタ)の霜の おきていなば 恋しきごと... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 仮名序-2 紀貫之 Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-2 Ki no Tsurayuki
2024-10-28
英語で味わう古今和歌集 仮名序-2 紀貫之
Enjoying Kokin Waka Shu in English: Preface-2 Ki no Tsurayuki
この歌、天地のひらけ初まりける時よりいできにけり。
しかあれども、世に伝わることは、久方(ヒサカタ)の天(アメ)にしては下照姫(シタテルヒメ)に始まり、あらかねの地(ツチ)にしては、素戔嗚尊(スサノヲノミコト)よりぞ起(オコ)りける。ちはやぶる神代(カミヨ)には、歌の文字も定まらず、素直(スナホ)にして、言(コト)の心わきがたかりけらし。人の世となりて、素戔嗚尊よりぞ三十文字(ミソモジ)わまり一文字(ヒトモジ)はよみける。
紀 貫之
Japanese poetry has been passed down since the creation of the heaven and the e... → 続きを読む
英語で味わう古今和歌集 1002 紀貫之 98 Enjoying Kokin Waka Shu in English-1002 Ki no Tsurayuki-98
2024-10-19
英語で味わう古今和歌集 1002 紀貫之 98
Enjoying Kokin Waka Shu in English-1002 Ki no Tsurayuki-98
< 古歌(フルウタ)奉(タテマツ)りし時の目録のその長歌(ナガウタ) >
ちはやぶる
神の御代(ミヨ)より 呉竹(クレタケ)の
よよにも絶えず 雨彦(アマビコ)の
音羽(オトハ)の山の 春霞(ハルガスミ)
思ひ乱れて 五月雨(サミダレ)の
空もとどろに さ夜ふけて
山郭公(ヤマホトトギス) 鳴くごとに
誰も寝覚めて 唐錦(カラニシキ)
龍田の山の もみぢ葉を
見てのみしのぶ 神無月
時雨(シグレ)しぐれて 冬の夜(ヨ)の
庭もはだれに 降る雪の
なほ消えかへり 年ごとに
時につけつつ あはれてふ
ことを言ひつつ 君をのみ
千代(チヨ... → 続きを読む
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