2023 地価レビュー 板橋5-17 商業 弥生町
2023 地価レビュー
板橋5-17 商業 弥生町
公示地価: 579,000 円/㎡ 前年比+2.3% (前年標準地の価格 564,000 円/㎡)
(以下、KNコメント)
東上線中板橋駅から歩3分、駅商店街通り8.0m区道沿いの利便性の高い商業地。上層階を住宅利用可能な収益物件として需要堅調
利便性に優れる。標準的使用・最有効使用とも中層店舗、事務所兼共同住宅地。「上層階を住宅利用も可能な収益物件に対する需要は底堅く」とあるように、自己使用、収益目的使用の併用可能な不動産への需要は堅調。公示価格は前年比+2.3%の579,000 円/㎡、坪当り191万円。「需要の中心としては、規模により異なるが、土地で1億円前後、建物付で2億円前後」とある。
ベンチマークとなる賃料査定
収益価格算定にあたっての店舗、事務所賃料、また3~5Fは賃貸用住居(1LDK、1K)の賃料として参考になる。
1F店舗(有効面積40.00㎡)の支払い賃料は、3,300円/㎡で、月132,000円
2F事務所(42,70㎡)は、2,700円/㎡、月115,290円
3,4F住居(40.00㎡:1LDK)は、2,650円/㎡、月106,000円/戸
5F住居(30.60㎡:1K)は、2,700円/㎡、月82,600円
(※当社管理物件の賃料水準もほぼ同等である)
想定建物の建築費(54,600,000円)は、鉄骨5F建てで坪約83万円。近時の人件費、資材価格上昇で建築費の高騰が懸念である。
収益価格は、比準価格の83.7%、公示価格の85.8%となっている。
複合不動産としての利回り:5.30% (公示価格ベース)、5.66% (収益価格ベース)
純収益5,107,006 ÷ (公示価格41,688,000 円 + 建物等初期投資額54,600,000円) = 5.30%
純収益5,107,006 ÷ (収益価格35,650,512 円 + 建物等初期投資額54,600,000円) = 5.66%
(以下、鑑定評価書より)
標準地番号: 板橋5-17
調査基準日: 令和5年1月1日
所在及び地番: 東京都板橋区弥生町27番3
住居表示: 弥生町27-14
用途区分: 商業地
交通施設、距離: 中板橋、 200m
公示価格: 579,000(円/m²)
対前年変動率(%): + 2.7(%)
地積(m²): 72(m²)
形状(間口:奥行き): (1.0:2.0)
利用区分、構造: 建物などの敷地、SRC(鉄骨鉄筋 コンクリート造) 5F B1
利用現況: 店舗、住宅兼倉庫
給排水等状況: ガス ・ 水道 ・ 下水
周辺の土地の利用現況: 中低層の店舗兼住宅の多い商業地域
前面道路の状況 北 8.0m 区道
法令上の規制等:
近商(80,300) 準防 その他)高度3種最高35m 最低敷地60㎡ (90,300)
標準的使用: 中層店舗、事務所兼共同住宅地
標準的画地の形状等:間口 約6.0 m、奥行 約12.0 m、規模 72 ㎡程度、形状 長方形
地域要因の将来予測: 店舗兼共同住宅等が建ち並ぶ近隣商業地域で、特段の変動要因もなく、当面は概ね現状と同様に推移するものと思料する。
最有効使用の判定: 中層店舗、事務所兼共同住宅地
鑑定評価の手法の適用
取引事例比較法 比準価格 591,000 円/㎡
収益還元法 収益価格 495,000 円/㎡
市場の特性:
同一需給圏は、東武東上線の沿線を主として板橋区及び隣接区に存する駅周辺の商店街や近隣商業地である。需要者の中心は、チェーン展開する法人、板橋区に地縁のある個人事業主又は法人や投資家等である。近隣型の商業地で商況に大きな変化はないが、上層階を住宅利用も可能な収益物件に対する需要は底堅く、需給は概ね安定的に推移している。需要の中心としては、規模により異なるが、土地で1億円前後、建物付で2億円前後と推察される。
試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由:
中低層の店舗兼共同住宅等が多く見られる近隣型の商店街で、収益性及び投資採算性に着目して容積率を消化する取引も想定されるが、これら収益性等を考慮した上で成約に至った類似の取引価格から試算した比準価格は、商業地においても規範性は高く、需要者の行動原理にも合致し、より説得力が高いものと思料する。よって、比準価格を標準として収益価格を比較考量し、更に代表標準地との検討を踏まえて、鑑定評価額を上記のとおり決定した。
価格形成要因の変動状況:
一般的要因: 区内の人口は横這いで高齢化率が高い。商業地の取引件数は前年比で概ね横這いだが、取引価格は前年比で上昇。賃料は前年比で概ね横這い程度。
地域要因: 中低層の店舗兼共同住宅等が多く見られる近隣商業地域で、地域要因に特段の変動は見られない。
個別的要因: 特段の変動はない。
想定建物: 店舗、事務所兼共同住宅 S5 (鉄骨5階建)
①用 途: 店舗、事務所兼共同住宅
②建築面積(㎡): 53.70
③構造・階層 S5 (鉄骨5階建)
④延床面積(㎡): 218.70
公法上の規制等:
用途地域等:近商 準防 高度3種最高35m 最低敷地60㎡
基準建蔽率: 90 %
指定容積率: 300 %
基準容積率: 300 %
地積: 72 ㎡
間口・奥行: 6.0 m x 12.0 m
前面道路: 区道 8.0 m
想定建物の概要: 1F:貸店舗、2F:貸事務所、3~4F:小家族向け住宅、5F:単身者向け
1階はフロア貸し店舗、2階はフロア貸し事務所、3~4階は小家族向け住宅、5階は単身者向け住宅を想定。
有効率: 88.4 % 理由: 地域における同種の建物として概ね標準的
床面積(㎡) 有効面積(㎡) 1㎡当り支払賃料(円) 月額支払賃料(円)
1F 店舗 45.08 40.00 3,300 132,000
2F 事務所 47.78 42.70 2,700 115,290
3F 住宅 45.08 40.00 2,650 106,000
4F 住宅 45.08 40.00 2,650 106,000
5F 住宅 35.88 30.60 2,700 82,600
計 218.70 193.30 541.910
年額支払賃料 541,910 円 × 12ヶ月 = 6,502,920 円
算 出 根 拠
修繕費 273,000 円 54,600,000 (建物等の初期投資額) × 5 %
維持管理費 260,117 円 6,502,920 (年間支払賃料) × 0 %
公租公課 土地 116,400 円 査定額
建物 464,100 円 54,600,000 × 50.0 % × 17.00 /1000
損害保険料 54,600 円 54,600,000 × 10 %
建物等の取壊費用の積立金 54,600 円 54,600,000 × 10 %
総費用 ①~⑥ = 1,222,817 円 (16,984 円/㎡)(経費率 19.3 %)
建物等の初期投資額: 54,600,000 円 坪83万円
(算出根拠) 240,000 円/㎡ × 218.70 ㎡ × (100% +設計監理料率 4.00 %) 建築費坪約83万円
①総収益 6,329,823 円
②総費用 1,222,817 円
③純収益 ①-② 5,107,006 円
⑤土地に帰属する純収益 1,530,706 円
⑥未収入期間を考慮した土地に帰属する純収益: ⑤×α=1,461,671 円 (20,301 円/㎡)
土地の収益価格: 35,650,512 円 (495,000 円/㎡)
還元利回り(r-g): 4.1 %
鑑定評価書 (mlit.go.jp) を基にKN作成
以上
By Kota Nakako
2023/4/17