経済短歌 為替レート: 購買力平価-2つの見方 Exchange Rate: 2 Ways of Looking at PPP – Economic Tanka

中湖 康太

経済短歌 為替レート: 購買力平価-2つの見方 Exchange Rate: 2 Ways of Looking at PPP – Economic Tanka

PPP 2つの見方 あると知れ いちにインフレ いちに円高 

PPP – There are two ways of interpretation.
The one is yen’s appreciation, the other is accelerated inflation.

ドル円為替が、ビッグマック指数を含む購買力平価を根拠に100円が長期均衡レートだとする、某著明経済学者が述べている。暴論であるといってよい。真っ当な経済学者とは思えない。そもそも、裁定が働くのならとっくの昔に100円近くの円高に振れているはずである。そう考える方が合理的だ。現在の為替レートはむしろ、完全ではないにしてもおおむね裁定が働いた結果である、とするのが経済学の考え方、というよりまともな経済学者の考え方だ。

しかも、机上の購買力平価100円が、実際の為替レートと乖離していることが、円高によって収束均衡するというのも、一方的だ。もうひとつの収束の仕方として、物価水準が上昇して、現在の145円に均衡するという考え方が理論的に可能だ。現に、日本の巨額国家債務、巨額の国債を抱える日銀のバランスシートを理由に超インフレを懸念する見方も存在する。

しかも、現在の各国の物価水準は基本的に競争市場で形成されたものである、という視点が欠如している。米国、日本、主要西洋諸国、豪州は、基本的に市場経済に基づく自由主義経済諸国だ。

競争メカニズムがおおむね働いた上で、机上の購買力平価が現実の為替レートと乖離している背景には、何らかの合理的要因が存在する、と考えるのがむしろ適正な経済学的な考え方だろう。

また、為替レートの形成には、直接的には、実質金利差、期待経済成長率格差が重要なファクターであるということを指摘しておこう。

By Kota Nakako

2024/09/02

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